ミニの魅力 - 歴史・歴代各モデル

ミニのはじまり (クラシックMINI)

1959年にイギリスで販売が開始されたクラシックミニは今でも世界中に多くのファンがいます。そのミニの歴史は約40年に及び、簡単に語ることができないくらい深いものがあります。
1994年にローバーを買収したBMWが2001年にNEWミニの販売を開始する直前まで(2000年まで)販売し続けたクラシックミニの販売会社の名称は約40年の間に「BMC」→「BMLC」→「オースチン」→「ローバー」と変更されており、販売された車のバリエーションが豊富です。各モデルの中では車名が変更されることもあり、時代背景及び、社名変更のたびに、または社内事情により、消えていくモデル、登場するモデルがありました。
1959年にBMC社から誕生したミニの原型となる最初の車名は「オースチン・セブン」と「モーリス・ミニ・マイナー」で、2台が同時に発売されています。この2台は外観と性能に大きく違いはなく、そのデザインは生産が終了するまでの40年の間、細かな部分や一部のモデルを除いて大きく変更はされていません。つまり、クラシックミニのデザインがこの時に完成していたことになります。
その後、BMC社は数年も経たないうちにエステートをはじめ、実用的な商用バンやピックアップトラック、スポーツバージョンのクーパーモデル、上級版のウーズレー・ホーネットやライレー・エルフなどミニをベースとした様々なモデルの販売を開始します。


クラシックミニ 歴代各モデル

▼ MKⅠ

1959年

オースチン・セブン
モーリス・ミニ・マイナー
※上級モデルを除いて1967年まで生産された車両モデルは全て「MKⅠ」と称される

1960年

バン
(オースチン・セブン・バン)
(モーリス・ミニ・バン)
エステート
(オースチン・セブン・カントリーマン)
(モーリス・ミニ・トラベラー)

1961年

ピックアップ
(オースチン・セブン・ピックアップ)
(モーリス・ミニ・ピックアップ)
クーパーモデル(初登場)
オースチン・セブン・クーパー
モーリス・ミニ・クーパー
上級モデル
ライレー・エルフ
ウーズレー・ホーネット
(※1969年まで生産)

1962年

オースチン・セブンがオースチン・ミニに車名変更
オースチン・セブン・クーパーがオースチン・ミニ・クーパーに車名変更
オースチン・セブン・バンがオースチン・ミニ・バンに車名変更
オースチン・セブン・ピックアップがオースチン・ミニ・ピックアップに車名変更

1963年

上級モデル
ライレー・エルフ(MKⅡ)
ウーズレー・ホーネット(MKⅡ)
--- クーパーモデル(1071ccエンジン搭載)
(オースチン・ミニ・クーパーS)
(モーリス・ミニ・クーパーS)
※1071ccエンジン搭載のクーパーモデルは翌年に生産終了

1964年

クーパーモデル(970ccエンジン搭載)
オースチン・ミニ・クーパーS
モーリス・ミニ・クーパーS
--- クーパーモデル(1275ccエンジン搭載)
オースチン・ミニ・クーパーS
モーリス・ミニ・クーパーS
ミニ・モーク
※970ccエンジン搭載のクーパーモデルは翌年に生産終了

1966年

上級モデルのライレー・エルフとウーズレー・ホーネットがMK-Ⅲにマイナーチェンジ

▼ MKⅡ

1967年

全てのモデルがMKⅡにマイナーチェンジ
モーリス・ミニ・マイナーがモーリス・ミニに車名変更

▼ MKⅢ

1969年

ミニ・クラブマン
(サルーン / エステート) スポーツモデル (ミニ1275GT)
クーパーモデル以外のモデルがMKⅡからMKⅢへ変更

1970年

ミニ・クーパーSがMKⅢに変更
(翌年にミニ・クーパーSの販売が終了)

1971年

※ミニ・クーパーSが販売終了

1978年

イノチェンティ・ミニ・クーパー

1980年

ミニ・シティ

1985年

ミニ・シティE
オースチン・ミニ・メイフェア

1980年代 日本での販売モデル

▼オースチン
ミニ・メイフェア
※以下(限)印がついたモデルは(販売台数)限定車
ミニ25(限)
ミニ・リッツ(限)
ミニ・チェルシー(限)
ミニ・ピカデリー(限)
ミニ・バークレーン(限)
ミニ・アドバンテージ(限)
ミニ・ジェットブラック(限)
ミニ・レッドホット(限)
スカイ / ローズ / レーシング / フレーム(限)
ミニ・サーティーズ(限)
ローバー・ミニ・メイフェア

1990年代 日本での販売モデル

▼ローバー
※以下(限)印がついたモデルは(販売台数)限定車
ミニ・クラブマン
ミニ・メイフェアⅡ
ミニ・クーパー1.3(限)
(1992年、インジェクションモデル販売開始)
ミニ・ERAターボ
キャンバストップ(限)
ミニ1.3AT
ミニ・クーパー1.3i
ミニ35クラシック(限)
ミニ・クーパー1.3i(モンテカルロ記念限定車)
ミニ・タータン
ミニ・ケンジントン
ミニ・クーパー35thアニバーサリー(限)
ミニ・クーパー スポーツパック・リミテッド(限)
Mr.ビーン(限)
ポール・スミス・ミニ(限)

MINIの魅力

クラシックミニの魅力はまず外観です。可愛いルックスと個性的なデザインは男女を問わず好まれると思います。軽自動車と間違えてしまうほど小型なボディの割には室内は広くトランクルームもあり、実用性も兼ね備えています。
その他、操縦性能についてはハンドルの切れがシャープで足廻りも固くゴーカートフィーリングといった運転の面白さも大きな魅力のひとつです。特にスポーツ走行の面白さが加えられたクーパーモデルは世界中で人気車となっています。
外観についてはBMWミニも同じことが言えます。クラシックミニの個性的なデザインを残しながら高級感がプラスされた外観は今の時代にマッチしていて魅力的です。とにかく街で走っている国産の中に混りミニが走っているのを見るとその独特なデザインから一目見て直ぐに分かります。ボディは少し大きくなったため、室内は後部座席やトランクルームも含めて、これまで以上に十分なスペースがあり、実用性のレベルは間違いなく上がっています。
性能面では現在のBMWミニもクラシックミニのコンセプトは受け継がれています。当時のミニの設計の多くを受け継いでいるわけではありませんが、BMW独特の乗り心地とミニのコンセプトを見事に融合させているのではないでしょうか・・。 新たに加わったミニ・クリーンディーゼルもエンジンの力強さを備えたモデルとして登場しています。

日本で愛されたローバーミニ

1959年、英国BMC社からミニが誕生して以来、2000年まで生産を続けたクラシックミニですが、徐々に日本でミニが取扱われ始めて、1959年から2000年までの約40年間のうちで最後の10年間では日本のクラシックミニの人気は頂点を極めます。
BMCがミニ・クーパーモデルの販売を開始した1961年、それと同じ年に日本の「日英自動車」がミニの取扱いを開始しました。
その後、1976年に排ガス規制によって国内のミニの輸入は一時中断されますが、1977年には三井物産とBLの共同出資のより日本レイランドが発足、1983年には日本レイランドがローバーグループ100%出資の小会社「オースチン・ローバー・ジャパン(ARJ)」となりました。
1985年に日英自動車がミニの営業権をARJに譲渡します。
1989年、英国の販売会社オースチンがローパーに社名変更するのに伴い、日本のARJも「ローバー・ジャパン」と社名変更します。
翌年1990年にはローバー・ジャパンのミニの売れ行きが大幅に上がり、日本のミニ販売台数がイギリス本国を抜いて世界でトップとなっています。
日本でクラシックミニのことを全てローバーミニと呼ばれる傾向にある理由は ローバー社になってから日本でのミニの売れ行きが大幅に伸びたためだと思います。
以降、日本のミニ販売台数は暫くトップを維持します。
この販売台数の記録こそローバーミニが日本人に愛されていた証です。

初代ミニ (英国 1959年)

1957年、BMCは今までにない小さな車を開発することに決定しました。その理由は1956年のスエズ危機によりヨーロッパ西側諸国は石油不足となり、軽くて燃費の良い車の開発が必要となったためです。その小型車の設計を任された人物はロングブリッジの工場でチーフエンジニアとして働いていたアレック・イシゴニスです。当時からBMCは彼の設計技術の高さを認めていました。彼に求められた開発小型車の条件は簡単に言うと「外観は小さいが、室内は広い車を経済性も考慮しながら既存のエンジンで造ること。」でした。
小型で燃費が良いというだけでなく実用性も兼ね備えた車の設計という大変難しい内容でしたが、画期的なアイデアを駆使して、それを約2年半後(1959年)に造り上げることになります。
当時はFRまたはRRが主流でしたが、FFを採用してエンジンとその関連部品を全てフロントへ持ってきて、エンジンを横置きにし、その下にデフとトランスミッションを配置しました。そのことで駆動装置は短くなり、エンジンとミッションがオイルパンを共有できるという仕組みです。つまり、フロントに駆動係全てをコンパクトに収めることで室内を広くしたのです。その他、ラバーコーン式サスペンションや10インチタイヤを装着をして完成させます。そして、完成された初代ミニは「オースチン・セブン」と「モーリス・ミニ・マイナー」という名前で双子車として2種類のモデルが同時に販売されました。

ミニ・クーパーモデル登場(1961年)

ミニが登場した当時、「クーパー・カー・カンパニー」というレーシングカー製作をする会社を父と共に経営したいたジョン・クーパーはミニの操縦性能に惚れ込み、BMC社への直接交渉により、ミニのスポーツタイプの開発を提案し、1961年にそれを実現させることになります。
ジョン・クーパーが設計に参加したモデルはエンジンを中心に総合的にパワーアップされて全て車名にクーパーという名称が付けられ、スポーツタイプの上級モデルとして位置付けられました。 そして、他のモデルと同時進行でクーパー、クーパーSなど改良されながら幾つかのモデルが登場し、1969年まで生産されました。
また、1964年にはモンテカルロラリーで総合優勝するなどラリー競技で活躍し、スポーツモデルとしての地位を確立します。
1969年にBMCからBMLCに社名変更されるのに伴い、クーパーモデルの生産は終了しますが、1990年に販売会社の社名がオースチンからローバーに変更された直後に新しいクーパーモデルの販売が再開され、BMWがローバーを買収してNEWミニの販売を開始する直前(2000年)まで販売が続きます。
日本ではミニという車の正式名をミニクーパーだと思っている方もおられますが、クーパーが世界的に人気のある有名なモデルであることから、クーパーという名の印象が強すぎて、そのように勘違いされるようになったのではないでしょうか・・。
MBLCがラリーやレースから撤退し、1969年から1990年の21年間、クーパーの生産を中止をしていなかったら、クーパーの歴史(進化やバリエーション数など)は全く違っていたかもしれません。現在、クラシックミニの中古車は数が少なくなっていますが、その中でも歴代のクーパーモデルが現在の何倍以上も市場に出回ってたかもしれないと想像すると少し残念な気持ちになります。


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